中野医院/美術待合室
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Nakano-Iin/Art Waiting Room
美術待合室 Art Waiting Room
荒木珠奈 新作展 Tamana Araki New works
El Otro Lado/The Other Side
入場無料
会期 2019年7月4日(木)~9月7日(土)
会場 美術待合室 中野医院内
時間 午前9:00~12:00/午後2:30~6:00
休室日:木・日・祝日、土曜午後
どなたでも診察時間帯に待合室の展示をご覧いただけます。受付でひと言、作品鑑賞の旨お声がけのうえ、芳名帳にお名前をお書き下さい。
▶◀ 開室日▶◀
7月4日(木) 12:00~21:00
7月21日(日) 11:00~20:00
医院の休診日に荒木さんが待合室にいらっしゃいます。作家さんに会いに、どなた様もお気軽にいらしてください。また、開室日のみご覧いただける新作のドローイングと小立体、近作・旧作の銅版画の作品もございます。
この度、美術待合室では、ニューヨーク在住の美術家・荒木珠奈さんの新作展"El Otro Lado/The Other Side"を開催します。
荒木さんは人々の暮らしを揺るがす人災を自身に引き付けて表現をする時、その先のかすかに明るい側面を見いだそうとします。2001年9.11同時多発テロが起きた後の作品《Evoke Under a Circle》(2003)は、会場を訪れた人が、床に置かれた小さな椅子を頭上に広がる大きな傘の骨組みの様なオブジェに吊り下げる作品でした。幾重にも張り巡らされた絹糸に下がる色とりどりの椅子は、人々が人災によって分断されてもなお、細い糸で確かに結ばれ円環をなしていく、世界/人々との繋がりを想起させました。
今回の作品は近年のアメリカ-メキシコ国境の壁の建設計画と、それが引き起こす社会問題、その渦中に暮らす作家の日々の肌感に基づき制作されています。新作のタイトルとなった”El Otro Lado”=「エル・オトゥロ・ラド」は、スペイン語で「向こう側」を意味します。大地の色をした蝶は、その羽根に太陽の光や青い空を映しながら旅を続けます。展示は大小のドローイングと小さな立体、銅版画により構成されます。7月4日と21日の作家が在室する開室日には、一部、作品の構成を変えた展示となる予定です。自然光の入る空間で、荒木さんの世界観に包まれる時間をお楽しみください。(美術待合室 中野 詩)
作家のことば
2012年より移民の街ニューヨークで、一移民として暮らしています。
以前はメキシコに住んでいた事もあり、トランプ政権のアメリカ-メキシコ国境の壁建設計画や、主に中米からの移民キャラバンが国境に押し寄せたことでも注目を集めた移民問題には関心を持ってきました。今も、一人で国境を越えたり、親と引き離された子供が12,000人以上収容施設にいるそうです。
新たにどんな壁を建設しても、麻薬や密入国者を止める抜本的な解決にはならず、本当に困って逃げてきている人だけをさえぎることになるという考え方もあります。
また国境地帯には国立公園や国立蝶保護センターもあり、壮大な自然が広がっています。壁建設は、1500種以上の動植物が影響を受ける自然破壊となると言われています。蝶や鳥は、壁を飛び越えられるだろうと考えられがちですが、低くしか飛ばない種類もあり、彼らにとって壁は生死をおびやかす障害でしかありません。
1997年のインスタレーション作品「旅の途中」では、メキシコと北米間で渡りをするモナルカ蝶をモチーフに、“旅”がテーマでした。今回の作品では、渡りをする蝶に、生きるために国境を渡り、旅をする人々の姿を重ねています。(荒木珠奈)
作家略歴
荒木珠奈 Tamana ARAKI (アーティスト)
1970年東京生まれ、現在New York在住
武蔵野美術大学短期大学部美術科専攻科、UNAM自治州立大学(メキシコ)の留学を経て、1997年武蔵野美術大学油絵学科版画コース卒業。2004~2005年ポーラ美術振興財団在外研修員としてメキシコ国立エスメラルダ美術学校に在籍 、2008年オアハカ州立自治大学ベニト・ファレス美術学校にて客員教授として教鞭をとる。
主な個展
1997「旅のつづき」a's gallery art soko cellar、東京
1999「うち」Gallery Jin、東京
2000 「遠くで永く」エキジビション・スペース、東京
2003「Evoke under a circle」ギャラリーブリキ星、東京
2004「地下の海」松明堂ギャラリー/アートスペース虹、京都
2008「月のへそー荒木珠奈と七色メキシコ」生活工房、東京
「MAMプロジェクト008 荒木珠奈」森美術館ギャラリー2
2011「見えない」Gallery Jin、東京
2018「インプリントまちだ展2018 荒木珠奈 -記憶の繭を紡ぐ-」町田市国際版画美術館
主なグループ展
2003「ひかりのたからもの―赤崎みま、荒木珠奈二人展」浜田市世界こども美術館
2005「Panoramica Descentro, mirando lo natural」エクス・テレサ国立現代美術センター、メキシコシティ
2006「MOTコレクション展示:みんなの中にいる私」東京都現代美術館
2007「新鋭展:荒木珠奈、ムラタ有子」ポーラ ミュージアム アネックス、東京
2019「MOTサテライト2019 ひろがる地図」東京都現代美術館(予定)
作品収蔵先 浜田市世界こども美術館、東京都現代美術館、武蔵野美術大学
作家・展覧会についてより詳しい情報は以下をご覧ください。
▶◀荒木珠奈ウェブサイト
▶◀Instagram:arakitamana
https://www.instagram.com/arakitamana/
▶◀Facebook:TamanaAraki/荒木珠奈
~ご一緒に~
東京都現代美術館の展覧会「MOTサテライト2019 ひろがる地図」(8/3(土)-10/20(日)入場無料)に、美術館に収蔵されている荒木さんのインスタレーション作品《Caos poetico -詩的な混沌-》(2005)が展示されます。詳細は東京都現代美術館のウェブサイトをご覧下さい。https://www.mot-art-museum.jp/
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